給与について
従業員の雇用で経営者が考えるべきこと
事業を拡大するためには、従業員の増員のために新たに従業員を雇い入れることが必要になります。従業員の雇い入れには、必要な届け出や手続きも多数出てきます。
また、届け出以前に、経営者自身が決めなければならないこともあります。
たとえば、従業員の給与や労働時間などは、経営者が主体的に決めなければなりません。
「よい職場」をつくる
従業員の給与や処遇が、労働に関連した法規に則ったものにするのは最低の要件であり、もはや当然です。
特に時間外労働や休日労働については、「合法だからよい」という問題ではなくなってきています。
人材流動性が高まった今日の日本のビジネス環境では、「よい職場」を構築する必要があります。
そのような考えのない企業では、せっかく育った人材の流出を招くおそれもあります。結果的に従業員の満足度が低い企業では、安定した経営は望めないものです。
したがって、経営者は従業員のモチベーションや人間関係にも配慮する必要があるのです。
従業員の給与を決める
具体的な給与計算は、コストパフォーマンスを踏まえても専門家にまかせたほうがよい場合がほとんどです。
しかし、基本や大枠自体は経営者が給与を決めなければなりません。
給与を決める際には、「自社の収益構造」「人材の能力」などのさまざまな条件を踏まえて検討します。
たとえば、「自社の収益構造」とは、自社の収益が従業員個人のパフォーマンスに著しく依存する場合や、会社のしくみそのものが利益を生み出すかたちになっているか、などです。
給与を検討する時には、このような自社の事情に配慮しなければなりません。
安易な成果主義は危険
給与について検討する時に必ず出てくるのが「成果主義」の発想です。
しかし、安定した生産を目的とした工場や間接部門の人員が多い会社、ルート営業が基本の会社などで、安易に成果主義を導入すれば混乱が起きがちです。
「売上への貢献」という言い方は一見説得力があります。しかし、「従業員同士の足の引っ張り合い」や「担当領域への不満」なども出るため、繊細な配慮がなければ、これまでは従業員になかったネガティブな感情を引き起こし組織崩壊のきっかけになるおそれもあります。
給与から会社の将来を考える
ほとんどの会社は従業員の働きによって成り立っています。
したがって、従業員の給与を考えるということは、実は自社を「どのような会社にしていくべきか?」ということを別な角度から考えることにほかなりません。
もちろん、厳しい制約条件があるうえで決めなければなりませんが、給与や労働条件を決める際には、会社の将来も見据えて、視野を広くして検討してください。