東京都と全国の最低賃金(平成29年度)

東京都の最低賃金は「958円」

労働者の賃金は最低賃金法によって定められています。
使用者は労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

東京都の最低賃金は、平成29年10月1日から時間額で「958円」になりました。
これは東京都全域の事業場で働くパートタイマーやアルバイト等を含む、すべての労働者に適用されます。

別途支給される賃金

最低賃金には次の賃金は含まれず、別途支給されることになります。

  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
  • 結婚手当などの臨時に支払われる賃金
  • 賞与などの1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 時間外動労、休日労働、深夜労働の手当

これらの賃金は最低賃金に含むことはできません。

日給制や月給制の場合の最低賃金

最低賃金が時間給以外の場合には、時間当たりの金額に賃金額を換算して比較します。

  • たとえば日給制(日で定められた賃金)の場合では、日給と1日の所定労働時間から時間あたりの金額を割り出します。そして、その金額と最低賃金の時間額(東京都は958円)と比較して、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
  • たとえば月給制(月で定められた賃金)の場合では、月給と所定労働時間(月により労働時間が異なる場合は1年間の平均所定労働時間)から時間額を割り出します。そして、その金額と最低賃金の時間額(同じく東京都は958円)と比較して、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。

派遣労働者に適用される最低賃金

派遣労働者や出張作業などの最低賃金の適用には注意が必要です。
派遣労働者の場合には次の注意が必要です。

  • 派遣元の事業所の所在地ではなく、派遣先の最低賃金が適用されます。
  • たとえば千葉県の派遣会社から東京都内に派遣されて実際に勤務する労働者がいるとします。その場合は、派遣元の所在地である千葉県の最低賃金(868円)ではなく、東京都の最低賃金(958円)が適用されます。

出張作業等に適用される最低賃金

出張作業や就労先現場の規模が小さい場合(たとえば県外での単独ビル清掃作業など)、最低賃金について次の注意が必要です。

  • 出張作業等で就労する事業所の所在地にかかわらず、所属元の最低賃金が適用されます。
  • たとえば、東京都内の会社に勤めていて、出張作業等で神奈川県で実際の勤務を行う労働者がいるとします。その場合、作業先の神奈川県の最低賃金(956円)ではなく、所属元の所在地である東京都の最低賃金(958円)が適用されます。

日本全国(各都道府県)の最低賃金(平成29年度)

厚生労働省の東京労働局の資料によると、平成29年度の日本全国の地域別の時間額で見た最低賃金は次のとおりです。
なお、賃金額の効力発効日は各都道府県によってそれぞれ異なりますが、すべて平成29年のものです。

北海道・東北地方
北海道 810円
青森県 738円
岩手県 738円
宮城県 772円
秋田県 738円
山形県 739円
福島県 748円

北海道・東北地方で比較をすると、北海道の810円が最も高い最低賃金です。
東北地方の中だけで比較をすると、宮城県の772円が最も高い最低賃金です。

関東地方
茨城県 796円
栃木県 800円
群馬県 783円
埼玉県 871円
千葉県 868円
東京都 958円
神奈川県 956円

関東地方で比較をすると、東京都の958円が最も高い最低賃金です。

中部地方
新潟県 778円
富山県 795円
石川県 781円
福井県 778円
山梨県 784円
長野県 795円
岐阜県 800円
静岡県 832円
愛知県 871円

中部地方で比較をすると、愛知県の871円が最も高い最低賃金です。

近畿地方
三重県 820円
滋賀県 813円
京都府 856円
大阪府 909円
兵庫県 844円
奈良県 786円
和歌山県 777円

近畿地方で比較をすると、大阪府の909円が最も高い最低賃金です。

中国・四国地方
鳥取県 738円
島根県 740円
岡山県 781円
広島県 818円
山口県 777円
徳島県 740円
香川県 766円
愛媛県 739円
高知県 737円

中国・四国地方で比較をすると、広島県の818円が最も高い最低賃金です。

九州・沖縄地方
福岡県 789円
佐賀県 737円
長崎県 737円
熊本県 737円
大分県 737円
宮崎県 737円
鹿児島県 737円
沖縄県 737円

九州と沖縄で比較をすると、福岡県の789円が最も高い最低賃金です。
なお、九州・沖縄地方では、福岡県以外の県の最低賃金はすべて737円になっているのが特徴です。

これらの表を見ると、それぞれの地方で商業活動が盛んな都道府県の最低賃金が高くなっているのがわかります。

全国で一番高い最低賃金額は東京都の958円

全国で最も高い最低賃金額は、東京都の958円です。
逆に最も低い最低賃金額は737円で、高知県と佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県で、主に九州地方に集中しています。