日本の労働時間

労働基準法と完全週休2日制の普及

近年、日本の多くの企業では完全週休二日制を取り入れるようになりました。休日に関しては、労働基準法第35条に次のように定められています。

  • 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
  • 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

つまり、必ずしも週休2日制でなければいけない訳ではありません。
しかし、日本での労働時間は、労働基準法第32条により1週間で40時間、1日8時間と決まっています。このため労働時間を1日8時間とした場合は、週5日労働で計40時間の労働時間となることから、企業は完全週休2日制を導入しなければならないのです。

この30年間で、完全週休2日制を導入する企業は増え続けてきており、土曜日の労働時間は減少しています。仮に週休1日だとしても、月曜日から金曜日の労働時間が7時間の場合、土曜日の労働時間は5時間となります。

さて、求職時に特に注意しなければならないのが、「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いです。毎週ごとに必ず2日の休日があるのが、「完全週休2日制」です。一方、1ヶ月のうち1週だけでも2日の休日があれば、「週休2日制」と称することができます。

日本の労働時間の推移

フルタイムの雇用者の労働時間についての過去40年間の推移が次の表です。

週あたりの労働時間の推移(1976~2011年)

1976 1981 1986 1991 1996 2001 2006 2011
男女計 46.71 49.69 49.99 49.08 48.78 48.24 50.05 50.1
男性 48.23 51.13 52.4 51.54 51.33 50.99 52.78 53.13
女性 43.51 46.66 44.91 43.89 43.39 42.43 44.29 43.71

(※出典 内閣府規制改革会議 雇用ワーキンググループ資料『社会生活基本調査』)

平日1日あたりの労働時間(1976~2011年)

1976 1981 1986 1991 1996 2001 2006 2011
男女計 7.76 8.08 8.27 8.29 8.36 8.31 8.63 8.67
男性 8.01 8.33 8.69 8.7 8.79 8.79 9.12 9.21
女性 7.22 7.55 7.41 7.43 7.45 7.3 7.6 7.54

(※出典 内閣府規制改革会議 雇用ワーキンググループ資料『社会生活基本調査』)

1980年代に日本の対外貿易黒字が大きくなると、国際的な貿易摩擦が発生して、欧米諸国から日本人の「働き過ぎ」が批判されるようになりました。また、過労死やうつ病などの精神疾患が社会問題となり、労働時間の短縮が求められるようになりました。
こうした背景から、1994年には労働基準法が改定され、法定労働時間が原則週40時間に短縮されました。これを時短といい、1980年代は年間2,100時間前後だった総労働時間が、2000年代はじめには1,840時間にまで短くなりました。

しかし、上の表を見ると、週当たりの労働時間は時短前からそれほど大きな変化がありません。一方、平日1日当たりの労働時間は増加傾向です。これに関して、完全週休2日制の企業が増えていることから、1日当たりの労働時間も増えているとも考えられます。

日本の有業率の男女差

労働時間の男女の差は顕著ですが、育児など家庭の事情が考えられます。
日本では平成20年をピークに少子化により全体の人口が減少しています。平成25年の都道府県別出生率を見ると、東京圏や大阪圏、北海道で低くなっています。これらの地域では男性の労働時間が長く、女性の有業率が低い傾向があります。

有業率から男女の差を見てみましょう。総務省「就業構造基本調査」(平成24年)によると、男性の有業率の全国平均は81.4%である一方、女性では63.1%です。
女性の有業率が7割を超えるのは福井県、石川県、山形県、富山県と、いずれも北陸地方です。6割を下回るのは、奈良県、兵庫県、大阪府と、いずれも大阪圏です。東京圏でも、埼玉県、神奈川県、千葉県は全国平均を下回っています。

女性の正規雇用と男性の長時間労働には大きな地域差がある

女性の有業者をさらに詳しく見てみると、女性の有業者に占める正規雇用の割合は49.2%(富山県)から35.0%(埼玉県)まで、都道府県により大きな差があることがわかります。さらに詳しく見てみると、女性の有業率が高い地域では正規雇用が多くなっています。

男性の長時間労働は、19.1%(京都府)から11.1%(島根県)と、都道府県の差が大きいのが特徴です。特に割合が高いのは、京都府、北海道、東京都、奈良県、埼玉県、千葉県です。なお、東京圏や大阪圏は、兵庫県を除くすべての都府県で全国平均以上となっています。
女性の場合、男性よりも地域差は小さいのですが、やはり東京都、京都府、福岡県、北海道、神奈川県などで長時間労働者の割合が高く見られます。

年齢別の労働時間

平成21年の総務省「労働調査」によると、週60時間以上働く労働者は35?39歳がもっとも多く(12.7%)なっています。この年齢をピークに、週60時間以上働く労働者の割合は徐々に下がっています。

週60時間以上就業する就業者数の割合

年齢 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~
就業者数割合 2.4% 6.6% 10.3% 12.1% 12.7% 12% 10.8% 9.8% 8.4% 7.4% 7.1%

(※出典 総務省「労働力調査」)

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